ABM(アカウントベースドマーケティング)とは、セグメント化された大規模な見込み客グループではなく、特定の顧客やアカウントにフォーカスして行うB2Bマーケティング戦略のことです。ABMでは、広範囲のキャンペーンを多くのオーディエンスに向けて実施するのではなく、焦点を絞り、パーソナライズされたキャンペーンを少数の顧客グループに向けて行います。わたしたちは、日本において、特定の顧客や主要取引先を無駄なく効果的に管理できるプログラムを使った顧客サポートに関心と需要が高まっていることを確認しています。
成功するABM戦略のゴールとは
・主要取引先の特定
・適切なステージにいる購買者へのエンゲージ
・適切でパーソナライズされたエンゲージメントの提供
・顧客との関係の育成
・ライフタイムにわたる顧客との信頼関係構築
ABMマーケティングプログラムには3つのタイプがある
・1対1のABMプログラムは、高い収益が見込まれる取引先を対象にします。こうした取引先にこそ時間とエネルギーの大半を投じるべきであり、その結果として、より多くの生涯価値を顧客から得ることができます。
・1対複数のABMプログラムは、1対1より少し幅広いけれども、それでもかなりターゲットを絞ったプログラムのこと。このプログラムでは、一定の基準によって取引先をセグメント化し、同じようなビジネス目標を持つ取引先から成る小規模なグループの作成に重点を置きます。
・1対多のABMプログラムでは、あなたがターゲットとするマーケットに合致し、セグメントや業界、その他関連する基準すべてにわたって共通点を持つ、数百程度の取引先を想定します。
さて、基本的なことを説明したところで、マーケティングクラウドアカウントエンゲージメント(Pardot)を使って、ABMのROIを促進する実践的なヒントをいくつか紹介します。
1. キャンペーンメンバーとして取引先を設定
「接続されているキャンペーン」と「エンゲージメント履歴」をオンにしたPardotインスタンスでは、すべてのプロスペクト(見込み客)とマーケティングアセットがSalesforceキャンペーンに関連付けられ、Salesforceにおいて正確なレポート作成が可能になります。
Salesforceキャンペーンは、データベースを適切にセグメント化し、アクティビティー結果を報告するために不可欠です。しかし、デフォルトでは、リードと取引先責任者はキャンペーンに追加できますが、取引先自体は追加できません。
幸いなことに、この機能は簡単に有効にできるので、まずはこの実行をお勧めします。
セールスクラウドにおいて、設定 > マーケティング > キャンペーンメンバーとしての取引先「有効化」をクリックします。次に、キャンペーンのページレイアウトを編集して「取引先を追加」ボタンを「キャンペーンメンバー」の関連リストに表示させます。
2. エンゲージメント履歴ダッシュボードを追加
エンゲージメント履歴ダッシュボードは、すぐに利用可能なキャンペーンのパフォーマンスを時系列で表示できるダッシュボードです。キャンペーンと取引先、商談、リード、取引先責任者、個人取引先のページレイアウトに追加して、活動中の見込み客を1つのページに時系列でまとめて表示できます。
取引先やキャンペーンページにエンゲージメント履歴ダッシュボードを追加すると、営業チームは、取引先内のどの取引先責任者とエンゲージメントし、何をどのようにエンゲージメントしたのか即座に確認できるようになります。これは、ビジネス上の意思決定プロセスにおけるターゲット取引先のさまざまな役割という意味で、どの機会がどのように働いているのかを調べるのに役立ちます。
これを有効にするには、まずセールスクラウドとPardotで、接続されているキャンペーンとエンゲージメント履歴、エンゲージメント履歴ダッシュボードを有効にする必要があります。以下は、Salesforceからの説明になります。
・エンゲージメント履歴を有効にする
・エンゲージメント履歴ダッシュボードをオンにする
「Pardot」および「Sales Cloudユーザ」、「Analytics の参照のみユーザ」の権限セットに属するユーザーは、ダッシュボードの閲覧が可能です。
このように表示されます。
完成するとこんな感じになります。
3. Salesforce Engageで営業チームを強化
Salesforce Engageは、マーケティングクラウドアカウントエンゲージメント(Pardot)とSalesforceセールスクラウドの中間的な位置づけとなるSalesforceツールです。Salesforce EngageはSalesforceからアクセスできますが、一部の機能は、デスクトップやOutlook、Gmailのアドオンとして利用することも可能です。
エンゲージは以下のように営業を強化します。
1. ブランド化、パーソナライズされた 1 対 1 メールの送信
マーケティング担当者が作成したPardot上のメールテンプレートにアクセスし、内容を適切に修正し、主要な取引先に 1 対 1 メールとして送信し、それを追跡することができます。また、営業はエンゲージにおいて独自のメールを作成することもできます。2. 1 対 1 メールエンゲージメントの追跡とレポート
エンゲージメールの開封やクリックを追跡し、どの主要取引先責任者が開封、クリックしたかモニターします。
3. 主要取引先責任者のアクティビティに対するカスタムアラートとレポートの設定
カスタムアラートとレポートの設定によって、主要な取引先のアクティビティをリアルタイムに把握できます。例えば、注目する取引先責任者がメール内のリンクをクリックしたり、フォームに入力したりすると、営業担当者は即座に通知を受け取ることができます。
エンゲージは、基本的に営業とマーケティングのためのミニABMマーケティングツールであり、セールスクラウド内で利用できます(追加料金あり)。
Salesforce Engageのドキュメントはこちら
4. ダイナミックリストで主要な取引先をセグメント化
ダイナミックリストでは、いくつかのルールを設定することで、リアルタイムにデータベースをセグメント化できます。ダイナミックリストは、常に主要な取引先をリストに追加してエンゲージメントを高めるのではなく、設定されたルールで、条件に一致する新しい見込み客がいれば、10分ごとにリストに追加されます。一度設定したら、あとは忘れてしまっても大丈夫!
ダイナミックリストは、特定の条件を設定しさえすれば、あとはリストに任せて、条件を満たす新しい取引先責任者をカスタマージャーニーに継続的に送り込むため、ABMには最適です。
ダイナミックリストを作成するには、Pardot lightningアプリにおいて、見込み客 > セグメンテーション > セグメンテーションリストへと進み、新しいリストを作成します。そして、「ダイナミックリスト」チェックボックスをオフにします。
ダイナミックリストにいくつかのルールを設定します。ここでは、特定の顧客取引先の見込み客をターゲットにした簡単なダイナミックリストの例を示します。
1.プロスペクトアカウント御項目(取引先項目)Name(取引先名)にはセミコロンを使用して、「Match Any(OR)」ロジックを有効にします
2. 獲得した機会(例:実際の顧客)に関係する見込み客のみをターゲットにするためには、「プロスペクトの商談の状況」を使用します
3.「Match All(AND)」ロジックを使って#1と#2を組み合わせます
4. ABMドリッププログラムの送信リストとして設定します
5. ダイナミックコンテンツを活用したコンテンツのハイパーパーソナライズ化
ダイナミックコンテンツを使えば、見込み客の情報に基づいて、メールやランディングページ、フォームに異なるメッセージを表示できます。PardotのPlusプランであればダイナミックコンテンツが利用でき、以下のような感じになります。
見ての通り、非常にシンプルです。プロスペクトの項目に従っていくつかルールとバリエーションを指定し、見込み客がそれぞれのフィールドに持つ値に基づいて、何を見せるか制御します。
ここでは、簡略化したABMへの活用例をご紹介します。
・バリエーションは、「会社名」項目の値(つまり取引先名)に基づく
・バリエーションA:会社名は「ナイキ」。コンテンツはナイキに合わせる。
・バリエーションB:会社名は「アディダス」。コンテンツはアディダスに合わせる。
・その他
・最大25種類のバリエーションを追加できる
・コードスニペットを生成し、メールやフォーム、ランディングページにスニペットを配置する
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SuperdriveはSalesforceのオフィシャルパートナーであり、Salesforce認定Marketing Cloudスペシャリスト・コンサルタントが在籍しています。