Account Engagement(Pardot)とMarketing Cloudは、Salesforceで提供される2つのマーケティングオートメーションツールです。どちらのツールも、マーケティング業務の効率化、自動化、パーソナライズを実現し、より少ない作業量でより多くの収益を上げることを可能にします。
それでは、どちらのツールでもマーケティングオートメーションができるとしたら、何が違うのでしょうか?そして、どちらを選ぶべきなのでしょう。
Account Engagement(Pardot)とMarketing Cloudはどちらも目的は同じです。しかし、この2つのシステムは操作方法が大きく異ります。
そこで今回は、2つのMAツールの違いを説明し、どちらが自分のビジネスに適しているのかを分かりやすくご紹介します。
Account Engagement (Pardot) とは?
Account Engagement (Pardot)の最大の利点は、Marketing Cloudと比較してSalesforceのCRMとウェブサイトをスムーズに連携できることです。この2つの間に存在する仲介ツールのような役割を果たします。
Account Engagement (Pardot)は、ウェブサイトとSalesforceに直接接続することで、マーケティングと営業にとって重要な追加機能を提供します。訪問者の行動を追跡し、リードや顧客との関連付けを行うことで、見込み客や顧客を適切に育成してマーケティングを行います。
もし、あなたの会社がSalesforce CRMをメインに使っているなら、Account Engagement (Pardot)tは最適なツールかもしれません。
Account Engagement (Pardot)が得意なポイント:
・ページビュー、ファイルのダウンロード、フォーム入力、メールのクリックなど、さまざまな行動を追跡します。
・そのデータをSalesforceのCRM上で営業と共有し、営業がより多くの案件を受注できるようにします。
・見込み客のデータを使い、パーソナライズされたメールを利用することで、リードのセグメント化、スコアリング、育成を自動的に行えます。
Marketing Cloud とは?
Marketing Cloud最大の利点は、メールマーケティングにとどまらない幅広いマーケティングオートメーション機能を備えていることです。メール、ソーシャルメディア、モバイル、ウェブなど、複数のチャネルで顧客と連携できるエンドツーエンドのマーケティングソリューションです。
CRMやウェブに加え、Marketing Cloud は eコマースシステムやモバイルアプリなどとも連携できます。そのため、顧客データの信頼できる情報源として SalesforceのCRMに代わる役割を果たします。
メールやウェブだけでなく、複数のチャネルを管理できる総合的なマーケティング オートメーションソリューションが必要な場合は、Marketing Cloudは最適なツールかもしれません。
Marketing Cloudが得意なポイント:
・メール、ソーシャルメディア、モバイル、ウェブなど、さまざまなチャネルを活用したキャンペーンの構築と実行ができます。
・さまざまなチャネルや接点における顧客とのやりとりを追跡します。
・顧客の行動、趣味趣向、属性に基づいて、キャンペーンのパーソナライズ化を実現します。
・キャンペーンのパフォーマンスを分析し、リアルタイムデータをもとにキャンペーンを最適化します。
Account Engagement (Pardot)と Marketing Cloud – どちらを選びますか?
2つのシステムの概要がわかったところで、どちらを選ぶべきかを正確に判断するにはどうしたらよいでしょうか。
そこで今回は、どちらのシステムがお客様の会社にとって適切かを判断するために、考慮すべき5つのポイントをご紹介します。
1. ターゲットはBtoB?それともBtoCですか?
Marketing CloudはBtoC(一般消費者)向けのツールであることが多く、Account Engagement (Pardot)はBtoB向けに効果的に機能するよう設計されています。
BtoC市場について
・大規模な顧客と見込み客のデータベースを持っています。
・Eコマースや 店内のPOSを利用している。
・ソーシャルメディア、広告など、カスタマージャーニーに関わる多くの接点やチャネルを活用しています。
・客情報や取引に関するインサイトを得るために、顧客データツール、Eコマースシステムなどに頼っています。
Marketing CloudがBtoCに適しているのは、大量の顧客や見込み客のデータを扱うことができること、複数のチャネルに紐付けられること、開発者がいれば、 eコマースのシステムや顧客データを管理するツールの統合が可能なこと、などです。
BtoB市場について
・BtoCに比べて見込み客や顧客の数は少ないが、取引規模が多くあります。
・営業チームが商談を成立させています。
・見込み客や顧客情報の信頼できる情報源として、CRMに大きく依存しています。
Account Engagement (Pardot)は、SalesforceのCRM拡張機能として機能するため、BtoB向けとして優れています。CRMと連携することで、見込み客や顧客とのやり取りを自動化し、営業がより多くの案件を成約できるように設計されています。
2. アカウントベースドマーケティングを活用していますか?
Marketing Cloudはカンバセーションマーケティング(会話重視)のマーケティングに向いています。一方でAccount Engagement (Pardot)はアカウントベースドマーケティング(ABM)を行うためのものです。
カンバセーションマーケティングについて
・アプリ、チャットボット、ソーシャルメディア、メールなど、あらゆるチャネルに対応していることです。
・一対一のアプローチを活用し、関係性を構築します。
・一回限りの購入に最適な場合が多いです。
Marketing Cloudは、チャネルをまたいで見込み客の体験を幅広くパーソナライズできるため、カンバセーションマーケティングに適しています。ソーシャルメディア、広告、メール、ショップカートのデータを取り込み、見込み客や顧客の興味に基づいてパーソナライズされたカスタマージャーニーを作成できます。
AIを活用して、どのようなコンテンツを提供すれば最も良い結果になるかの予測も可能です。
アカウントベースマーケティングについて
・オムニチャネルでありながら、営業とマーケティングの連携に力を入れています。
・キーアカウントとの関係構築のために、一対一、および一対多のアプローチを活用します。
・営業サイクルが長く、高額な案件を抱える企業に効果的です。
リードスコアリング、見込み客の追跡、アラート、リードナーチャリングなどの機能を備えたAccount Engagement (Pardot)は、営業チームを意識して設計されています。Account Engagement (Pardot)は、営業チームが重要な顧客に対して常に最新のパーソナライズ化された情報を自動で提供できるようサポートします。
3. みなさんのマーケティングスタイルは、リアクティブ(反響型)ですか、それともブロアクティブ(提案型)ですか?
Marketing Cloudは見込み客を素早く誘導するために使われることが多く、Account Engagement (Pardot)は、より時間をかけたナーチャリングキャンペーンを構築するために設計されています。
リアクティブ戦略
・リードを素早くファネルの最後の段階まで導きます。
・リードに行動を促します。
・SMS、プッシュ通知、メール、ソーシャルメディア、広告、モバイルマーケティングなど、オムニチャネルコミュニケーション戦略を活用します。
Marketing Cloudのオムニチャネル機能とさまざまなデータからの取得機能は、パーソナライズされたリアクティブな戦略に最適です。
プロアクティブ戦略
・リードナーチャリングは、営業サイクルが長い場合に、リードを常に意識しておくために使用します。
・スコアリング、グレーディング、分配を使用して、営業担当者が最もホットなリードを常に把握できるようにします。
・メール、ランディングページ、フォーム、ソーシャルメディアを駆使してリードと関係を築きます。
Account Engagement (Pardot)のリードナーチャリング、スコアリング機能、Salesforce CRMとの統合で、マーケテイングと営業のプロアクティブな戦略を優先する組織にとって優れたツールになります。
4. SalesforceのCRMは信頼できる情報源ですか?
あなたの会社がSalesforceのCRM内のデータにどれだけの価値を置いているかによって、Account Engagement (Pardot)とMarketing Cloudのどちらがビジネスにとって価値があるかは大きく異なります。
Marketing Cloudは、とても複雑なデータベースを持つ企業に適しており、Account Engagement (Pardot)は、Salesforceを主な情報源として活用するように設計されています。
複雑なデータベース仕組みについて
・POSまたはEコマースツール
・カスタマーデータプラットフォーム
・アプリ内通信とモバイル通信
・外部セグメンテーションまたは分析ツール
Marketing Cloudは、さまざまなソースやチャネルから大量のデータを取り込み、出力できます。そのため、複雑な構造を持つ企業にとって理想的な情報源になります。
SalesforceのCRMを唯一の情報源として
・SalesforceのCRMには、最新の顧客関連データが蓄積されている
・SalesforceのCRMは他のシステムと連携し、情報源として機能する
・セグメンテーションとレポートはSalesforce内で行う
他のシステムがすでにSalesforceのCRMと通信しており、中心的な役割を担っている場合、Pardotは既存の基盤に追加するだけですので、より良い選択になります。
5. ご予算は?
最後に、重要なポイントである価格についてです。
価格は、Marketing Cloudの機能とAccount Engagement (Pardot)のプランによって異なりますが、一般的には、Marketing Cloudの方が高くなります。以下はその概要です。
Marketing Cloudについて
・機能・製品(メール、ソーシャル、レポートなど)にはそれぞれ価格が設定されており、必要に応じてパッケージで購入する必要があります。
・異なるプランでは、さらに価格が変動します。
・送信されたメールの数によって、価格は変動します。
・Marketing Cloudパッケージの例として、この記事を書いている時点では、Marketing Cloudのメール、モバイル、Journey Builder(ジャーニー管理)、Advertising(広告)を組み合わせると、少なくとも月額35万円はかかると予想されます。
Pardotについて
・4つのプランがあり、それぞれに機能と価格が設定されているため、よりシンプルな価格モデルとなっています。
・メール送信数で価格が変動することはありませんが、データベース内のメール送信可能なプロスペクト数で、価格が変動することがあります。
・この記事を書いている時点では、Pardotの価格はプランによって月額15万円~180万円かかると予想されます。
まとめ
最後に。Salesforce Marketing CloudとAccount Engagement(Pardot)は、どちらも強力なマーケティングオートメーションツールです。どちらも、異なるニーズや好みを持つさまざまな企業に対応できます。
Account Engagement(Pardot)は、営業サイクルが長く、営業チームがあり、SalesforceのCRMを唯一の情報源とするABMアプローチを採用しているBtoB企業で多く使用されています。また、CRMとウェブサイトの間に位置し、効率的なメールジャーニーやシナリオ、ランディングページ、フォームの作成に使用されます。
PardotのMarketing Cloudに対する大きな利点は、CRMとの統合、リードスコアリング・分配、営業に役に立つ機能を備えていることです。
Marketing Cloudは、販売サイクルが短く、顧客の追跡、管理、販売にさまざまなチャネルや外部のツールやシステムに依存しているBtoC企業で多く使用されています。Marketing Cloudの大きな利点は、複雑なデータベースに適合して統合できることです。メール、モバイル、アプリ内メッセージなどを通じて、顧客にオムニチャネルコミュニケーションを提供できることです。
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